母乳育児②
〈前回からの続き〉
私は現在、母乳育児相談のできる助産院にほぼ週一で通っています。そこでどのような指導を受けたのかを思い出してみます。
受診直前
子どもの退院から三日目、すでに乳首は赤く腫れあがり、授乳どころか下着を付けるのも、いや、服を着ること自体が擦れて痛く、しかし空気に触れているのもヒリヒリして痛い、という悲惨な状態でした。しかし、病院でミルク調乳とかの指導を受けていなかったため（さすが母乳育児を推進しているだけのことはある）、何となく哺乳瓶の扱いがよくわからなく自信が持てないので、母乳をあげ続けていました。（このあたりに、私のガサツな性格が出ていると思います。）ただ、前日の夜に、吸わせど吸わせど泣き続ける子どもと腫れ上がる私の乳を見かねて、夫が冷凍母乳を哺乳瓶で飲ませてくれました。退院の日用に搾ってあったものです。この時の夫の判断と行動には本当に今でも感謝しています。手を出してくれなかったら、意地でも母乳をあげ続け、乳首に傷を作っていたかもしれません。産院からは、とにかく体重が増えていないことを確認するまでは母乳をあげ続けなさい、といわれていました。
「褒め」のスペシャリスト
助産院へは、行く３時間前には授乳を済ませておくようにということでした。到着すると、まず子どもの体重を測ります。すると、なんと退院時よりも120gくらい増えていました。「ミルクはどれくらい足してるの？」ときかれたので、「いえ、退院してからミルクはあげていません、一度冷凍母乳をあげただけです」と答えると、非常にびっくりされると同時に褒められました。そして「一日何回授乳してるの？」ときかれたので、「10〜12回です」と答えると、これまた非常にびっくりされると同時に褒められました。「すごいわね〜！そこまで本当にできる人ってそんなにいないのよ〜！」
この「褒め」が、決定的に私にプラスに作用しました。今思えば、それがベテランのベテランである所以であって、不安を抱えている新米母親をサポートし、やる気にさせる手練手管であったのかもしれないわけですが、「もう無理限界」となっている新米母親にしてみれば、これまで幾多の母乳指導を行ってきたであろうベテラン助産師さんがそこまで言ってくれるということは自分はすごいのだと思い込んでしまうわけです。なにしろ、それまでは産院の（若い20代くらいの）助産師さん達から口々に、「母乳は授乳が頻回になりますから、一日12回以上…多い人だと16回という人もいます」ということを聞いており、「母親ならばそれをやるのが当然」という言い方だったのですから…。「褒め」ることで、その人のやる気や潜在能力、場合によってはそれ以上のものを引き出すというのは、仕事柄理解しているつもりでしたが、まさにここで私はそれをやってもらったことになります。
一回目の指導
その後、助産師さんの目の前で授乳をします。子どもの吸い方と吸わせ方をチェック、指導してもらいます。子どもの吸い方はとっても上手で、小さいのに顎の力がすごいと、これまた褒めてもらえました。吸わせ方は、猫背にならないようにして、子どものおしりを片方の手でゆっくりどーんどーんと振動を加えながら吸わせます。子どもが吸いながら寝てしまうため、振動を与えるのだそうです。まず両方吸わせたあと、体重を測ります。その後もう１クール吸わせると、体重が50g 増えていました。これで50ml飲んだというふうに考えます。
ここまでやって、以下のような結論になりました。一日あたり30g程度増えていれば順調といえるが、現在退院から40g／日増えていることから、このまま母乳のみで育てて良いとうことと、現在の授乳の仕方でしっかり飲めているということです。
疑問と不安
私が不安だったのは、なにはともかく、腫れと痛み、でした。これがいつまで続くのか。このままだったら授乳は続けられない、ということです。それに対するアドバイスは、このようなものでした。
- 痛みは必ず治まってくる
- 母乳と赤ちゃんの唾液で傷が治るから吸わせること
- 夜だけなど辛ければミルクを使用しても良い
仕上げのマッサージ
その後、オイルを使ったマッサージをしてもらえます。これは、乳腺の詰まりも解消してもらえて、終わったあとは本当にふっくらとやわらかくなります。痛みは治るとまではいきませんでしたが、だいぶ心も身体も軽くなりました。
その後
帰宅後は、その日の夜一度だけミルクにしました。これによって乳首が５時間休めたので、痛みも和らいできました。痛みはこの日がピークだったらしく、その後は次第に鍛えられ痛みを感じるのは最初の５秒くらいになってきました。
その後、約週１回のペースで通っています。初回は5,000円、二回目以降3,000円で一時間半くらいたっぷり看てもらえます。母乳以外のことも相談できるので、私のような実家が遠方とか近くに相談できる人がいない人はそういうところを一箇所見つけるといいのではないかと思いました。
